
こんにちは!
今回から彫刻の魔術師と呼ばれるほど繊細な切手を多数生み出した、チェスラフ・スラニアについて特集したいと思います。
スラニアと切手彫刻のはじまり
チェスラフ・スラニア(Czeslaw Slania 1921 – 2005)はポーランド生まれのエングレービング作家でデザイナーです。
(チェスワフ・スワニアと訳されることがありますが、日本ではスラニアが一般的です)
ヨーロッパ各国の切手や紙幣の原版を手がけました。
エングレービングとは?
版画の凹版技法のひとつです。ビュランという先端にダイアモンド様の固い刃のついたノミのような器具を使い、銅版に線を彫り、その溝にインクを埋め、それを刷って作品にする版画技術です。鮮明な線を表現できることが特徴です。
スラニアは、ポーランド南部の都市、カトヴィツェ近郊のチェラチに、鉱山労働者の子として生まれました。
1945年にグラフィック・アートで有名なクラクフ美術学校へ入学し、在学中から才能を見込まれてポーランド切手印刷所で働いていました。
そこで凹版印刷のための彫刻を学びました。
1951年 スラニアの一番切手発行
1951年3月24日にポーランドからスラニアの一番切手が発行されました。

これ以前にもスラニアが制作に参加した切手があったのですが、本人が1番目と認めているのが上の切手です。
1956年までポーランドで印刷技師として在籍し、1956年にスウェーデンに移住、1959年以降はスウェーデン郵政局に在籍しました。
1972年からはスウェーデン王室のエングレービング作家としても活動し、スウェーデンだけでなく28ヶ国に生涯にわたり作品を提供しました。
ギネスブックに認定された1986年
1986年にスラニアの凹版切手が720作品になり、発行数でギネスブック(現在のギネス・ワールドレコーズ)に掲載されました。
5年後の1991年はスラニア70歳の誕生日を記念して、スウェーデンから切手シートが発行されました。
切手技師の記念切手が発行されることで、スラニアがスウェーデンでいかに尊敬されていたかが伺えます。

スウェーデンの画家、カール・グスタフ・ピロ(Carl Gustaf Pilo、1711年3月5日 – 1793年3月2日)の未完の作品『グスタフ三世の戴冠』がモチーフです。

少ない色数で繊細な表情がしっかり表現されています。

小型シートにはタブが付いていて、凹版切手の道具であるビュランとルーペが描かれています。
スラニアの1000作目の切手は「最高の出来栄え」と自身が評価
さらに発行を続けて2000年には1,000作目の切手がスウェーデンから発行されました。

原画はドロットニングホルム城の天井画です。
バロック時代の画家、デビッド・デビッド・クロッカー・エーレンシュトラール(David Klocker Ehrenstrahl , 1628 – 1698)『Swedish Kings(スウェーデン国王の偉業』をモチーフにしています。

小型シート切手の印面サイズは75.5mm x 55mmでスウェーデンの切手では最大です。
当時世界最大の切手として当時ギネスブックに掲載されました。

切手は原画よりも明るい色調になっています。
線の1本1本に集中して原画を表現したスラニア本人はこの切手を
「生涯最高の出来栄え」と語りました。
モナコのグレース公妃の切手
彫刻家としての遺産とも言えるチェスワフ・スワニアの作品は、切手収集家の間で高い評価を受けています。
スラニアのの緻密な彫刻技術と美的センスは、切手の芸術の頂点を示すものと言う収集家も多く、私もそのひとりです。
私がスラニアの切手に興味をもったきっかけの1つは、グレース公妃(Grace Patricia Kelly 1929-1982)の切手です。


モナコとUSAから1993年に共通デザインで発行された切手、
モナコ側は「プリンセス・グレース」アメリカ側は「グレース・ケリー」
同じ写真が元になっていますが、両国はオリジナルの版で制作するように依頼しました。
拡大して見ると違いに気が付くことができます。


写真よりもリアルに感じるような彫刻の表現は、細かい線だけで構成されていることを知り驚きました。
凹版切手をもっと知りたくなりました。
モナコ公国ではこの切手の後もスラニアに重要な記念切手を依頼しています。
まとめ
切手収集の中で芸術と技術が融合する作品を作り続けたスラニアの功績は大きいです。
切手の世界で驚異的なキャリアを築き、多くのコレクターや芸術愛好家から賞賛を受けているスラニアの作品について、数回にわたり探求していきます。

(切手は個人コレクションを含みます)
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