こんにちは!今日はチェスラフ・スラニアが切手を発行した国と種数、1種だけ発行した国についてご紹介します。
スラニアが手がけた切手の発行国と種類
チェスラフ・スラニア(Czeslaw Slania 1921 – 2005)はポーランド生まれの凹版切手彫刻家です。
ヨーロッパ各国の凹版切手や紙幣の原版を手がけました。スラニアの概要はVol.1もご覧ください。
凹版切手とは?
ビュランという先端にダイアモンド様の固い刃のついたノミのような器具を使い、銅版に線を彫り、その溝にインクを埋め、それを刷って作品にする版画技術を用いて印刷した切手です。鮮明な線を表現できることが特徴です。ヨーロッパで15世紀頃に発明され、1840年のイギリスの最初の切手にも用いられました。
スラニアは生涯で1,422種の切手を制作しました。
発行国は北欧を中心にヨーロッパ各国が多く、国連、USA、アジアもいくつかあります。
発行国 | 種数 | 割合 | 発行初年 | |
1 | スウェーデン | 496 | 34.9% | 1960年 |
2 | デンマーク | 321 | 22.6% | 1962年 |
3 | モナコ | 228 | 16.0% | 1972年 |
4 | フェロー諸島 | 100 | 7.0% | 1975年 |
5 | グリーンランド | 92 | 6.5% | 1963年 |
6 | ポーランド | 52 | 3.7% | 1950年 |
7 | イギリス | 28 | 2.0% | 1982年 |
8 | アイスランド | 20 | 1.4% | 1969年 |
9 | 国連 | 16 | 1.1% | 1986年 |
10 | USA(アメリカ) | 8 | 0.6% | 1983年 |
サンマリノ | 8 | 1974年 | ||
12 | バチカン市国 | 7 | 0.5% | 2000年 |
13 | オーストラリア | 6 | 0.4% | 1994年 |
シンガポール | 6 | 1999年 | ||
15 | フランス | 4 | 0.3% | 1982年 |
中国香港 | 4 | 2003年 | ||
17 | オーランド | 3 | 0.2% | 1994年 |
18 | アイルランド | 2 | 0.1% | 1974年 |
スイス | 2 | 1997年 | ||
スペイン | 2 | 2003年 | ||
タイ | 2 | 2002年 | ||
中国 | 2 | 1997年 | ||
ベルギー | 2 | 1999年 | ||
マーシャル諸島 | 2 | 2001年 | ||
ジブラルタル | 2 | 2000年 | ||
26 | チュニジア | 1 | 1995年 | |
ニュージーランド | 1 | 1994年 | ||
エストニア | 1 | 1992年 | ||
ラトビア | 1 | 1992年 | ||
リトアニア | 1 | 1992年 | ||
合計 | 1,422 |
日本での発行はありませんでした。
一番多いのはスラニア切手では代表国とされるスウェーデンで35%に達します。
1種のみの国が5ヶ国ありました。
スラニアの凹版切手、1種のみ発行の国に注目
発行数の多い国は次回以降特集することにしまして、あまり注目される機会のない1種の国にスポットを当てたいと思います。
これが唯一というところに興味を持ちました。
チュニジア・1995年・カルタゴの将軍ハンニバル
ハンニバル・バルカ(Hannibal Barca 紀元前247-183)は、カルタゴの名将です。
カルタゴ(Carthago)は紀元前にアフリカ大陸の北岸を中心に地中海貿易で栄えた、フェニキア人による国家です。
中心地は現在のチュニジア共和国の北側になります。カルタゴ遺跡(Site of Carthage)は1979年に世界遺産に指定されました。
スラニアの肖像画は繊細なイメージがありますが、この切手は名将らしく骨太なイメージに仕上がっています。
チュニジアのハンニバルの印刷物では、1993年に発行された5ディール紙幣があります。
スラニアはカナダ、ブラジルの紙幣を彫刻したという記録がありますが、チュニジアの紙幣がスラニアの作品という資料は見当たりませんでした。
構図が似ているので参考にしたのではと思います。(ご存知の方教えてください)
ニュージーランド・1995年・マウントクック
ニュージーランド郵政は1995年に、小包用として需要のあった高額切手を発行することになりました。
大型の切手を発行するにあたり、当時切手の世界で実績のあるスラニアに依頼しました。
スラニアは依頼を受けて、ニュージーランドの最高峰マウントクック、シダ(シルバー・ファーン)、国花・コーファイの木を織り交ぜたデザインを作成しました。
上部のクサリのような模様は、先住民マオリ族に伝わる垂木模様で、伝統に対する尊敬の気持ちも表現しています。
スラニアの切手の中でも、様々なモチーフを大胆に組み合わせたユニークなデザインだと思います。
エストニア、ラトビア、リトアニア・1992年・バルト海沿岸の鳥
エストニア、ラトビア、リトアニアはスウェーデンと共通図案でバルト海がテーマの切手を彫刻しています。
右上の鳥がスラニアの作品で、オグロシギ(Limosa limosa)です。その他の3羽は別の作者です。
エストニアのFDCに国旗が並んででいますが、スウェーデンにとっても496種のうちの1種です。
Mare BALTICUMはラテン語で「バルト海」です。
今日はスラニアの切手発行数と発行国のご紹介と、1種のみ発行した国の切手をご紹介しました。
次回は違う角度からスラニアの切手を探求してみたいと思います。
ポスティオ・マルシェではスラニアの切手グループがあります。まだ仕分け途中ですが、これから追記していきます!
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