【アーティスト】ミルコ・ハナーク(ハナアク)の絵本と切手の世界

1983年ミルコ・ハナーク『鳥たちの話』

チェコスロバキアで活躍した画家でイラストレーターのミルコ・ハナークの切手デザインをご紹介します。

目次

ミルコ・ハナーク(Mirko Hanak)について

ミルコ・ハナーク(Mirko Hanak 1921〜1971年)は50年の生涯の中で絵本を中心に書籍の挿絵を描いた画家です。

ミルコ・ハナアクと表記されることもありますが、こちらではハナークにします。

1921年にスロヴァキアのマルチンに生まれました。

兵役を経たのちにプラハ芸術工科大学で水彩画を専攻しました。

1951年に初めての絵本『狩人のおはなし(Lovcovy Povidky)』が発刊されました。

1951年 ミルコ・ハナーク『狩人のおはなし(Lovcovy Povidky)』

現代でいうとイラストレーターという表現が近いです。

ミルコ・ハナーク(Mirko Hanak)の絵本

その後も170冊の書籍に挿絵を提供しましたが、ほとんどが海外で出版された本です。

私が持っている絵本をいくつか紹介します。

東欧の本は文字が読めないのですが、絵を見ているだけで温かい気持ちになります。

日本では山崎陽子さんの『動物たちのおしゃべり』に挿絵を提供しています。

日本で発行された『動物たちのおしゃべり』

ミルコ・ハナーク『画家の思い出』より

朝早く、銃を手にでかける。すると、たいてい予定外の動物に出会う。

水や草や花にも出会う。(中略)岩壁の下に20頭ほどのシャモアの群れを見つけた。

全員左側を向き、スタートラインについたハードル走者のように片足を曲げている。

レースをスタートさせるのはワラシだ。みんな位置について、よーい、どん!

宙に向かって銃を撃つのがこんなに楽しかったことはない。

ミルコ・ハナークが兵役を終えて美術学校に通っていたころ、両親が北モラヴィアのイェセニクに転居しました。

ミルコ・ハナークも頻繁に実家に通い、山の中で動物たちに出会いました。

「狩猟や釣りを好み、自然の中での体験や記憶がミルコ・ハナークの描く動物を生命感あふれるものにしている」《引用・ちひろ美術館の著書『ちひろと世界の絵本画家たち』》

いわさきちひろさんもミルコ・ハナークのファンで作品をコレクションしていました。

水彩画で描く子どもの雰囲気に共通するやさしさがありますね。

いわさきちひろ 赤い毛糸帽の女の子『ゆきのひのたんじょうび』(至光社)

「ハナークは動物画を得意とし、必要最小限の線でしなやかな動物の肢体を巧みに表した。さらに表情をとらえることにかけても特筆すべき技術を持っていた」《引用・ちひろ美術館の著書『ちひろと世界の絵本画家たち』》

ミルコ・ハナーク(Mirko Hanak)の切手

ミルコ・ハナークの切手発行回数は、同時期に活躍していたカレル・スヴォリンスキーと比較して少ないです。

チェコスロバキア時代に4回、19種が発行されています。

① 1963年『鹿(6)』

1963年『鹿』

6種類の鹿です。ミルコ・ハナークは狩りの経験から自然の鹿を観察して、動物の姿を魅力的に描きました。

さりげなく草花が添えられているのも特徴です。

・Dama(ファロー鹿)

・Capreolus(ノロジカ)ノロジカはディズニーのバンビのモデルです

・Cervus elaphus (アカシカ)ニホンジカはCervus nippon です

・Rupicapra rupicapra(シャモア)

・Capra Ibex(アイベックス:ヤギ科)

・Muflon(オオツノヒツジ)

② 1965年『国際犬会議・プラハ1965(6)』

1965年『国際犬会議・プラハ1965』

・Slovak Kopov(スロヴェンスキー・コポフ)スロバキア原産の猟犬です

・Nemecky ovcak(ジャーマンシェパード)

・Pudl(プードル)水辺の猟が得意でドイツ語のpudelが語源です

・Afghansky chrt(アフガンハウンド)ヨーロッパではショードッグとして人気でした

・Chesky terier(チェスキーテリア)。地中猟が得意な犬で、チェコの国犬です

・Cesky fousek(ボヘミアンポインター)鳥猟が得意で、チェコで最も人気のある犬種だそうです

③ 1971年・ブラティスラヴァ・世界絵本原画展のうちの1枚

チェコスロバキア・1971年・ブラティスラヴァ・世界絵本原画展

左上のトラの絵がミルコ・ハナークの作品です。

1968年に初版が発行された『Animal Folk Tales(動物のはなし)』がモチーフになっています。

1968年 ミルコ・ハナーク『Animal Folk Tales(動物のはなし)』

右側はエヴァ・ベドナージョヴァ(Eva Bednářová 1937 – 1986) 

 →ブラティスラヴァ・世界絵本原画展 1969年のグランプリです

下は日本人の絵本作家、瀬川康男(1932-2010)さんの『ふしぎなたけのこ』

 →ブラティスラヴァ・世界絵本原画展、記念すべき第1回、1967年のグランプリです

この後ブラティスラヴァ絵本原画展に関連する切手は2年おきに発行されました。

(ミルコ・ハナークはブラティスラヴァ絵本原画展のグランプリ受賞歴はありません)

ブラティスラヴァ世界絵本原画展(Bienále ilustrácií Bratislava)は、スロバキアの首都ブラティスラヴァで開かれる国際的な絵本原画のビエンナーレです。隔年に開催の美術展覧会で1967年に創設されました。絵本のイラストレーターに贈られる国際賞として最も古く、国際アンデルセン賞と並ぶ名誉ある賞です。

④ 1972年『鳥(6)』

1972年『鳥』

鳥の切手は大きさが2種類あります。

筆づかいから、ミルコ・ハナークが中国の水墨画の影響を受けていたことがわかります。

ミルコ・ハナークの切手・まとめ

ミルコ・ハナークはカレル・スヴォリンスキーと同様に、私がチェコスロバキアの切手に惹かれるきっかけになった作家です。

ミルコ・ハナークの切手は種類は少ないですが、一度見ると忘れられない魅力があります。

ずっと見ていても飽きず、心が癒されるような作品です。

ポスティオ・マルシェでは全種の常時販売は難しいのですが、時々入荷することがあります。

ぜひ見に来てください。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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