
今日は1990年代にハンガリーから発行された、刺繍文様がモチーフになっている切手をご紹介します。
私がこの切手に出会ったのは今から20年前なのですが、切手商さんのお店で偶然1枚見つけ、また次に1枚・・と見れば見るほどかわいくて長い時間をかけて集める大好きなシリーズになりました。
上の写真の31種がすべてだと思います。
ハンガリーの刺繍モチーフ切手

切手に書かれたハンガリー語の意味
MAGYARORSZAG
切手の文字で一番目立つ「MAGYARORSZAG」
MAGYARはマジャールと読み、意味はハンガリー、ORSZAGは国です。つまりMAGYARORSZAGはハンガリー国です。
Himzett mitivumok
「Himzett mitivumok」Himzettは刺繍の、motívumokはモチーフです。Twitterに「刺繍神話」と書きましたが、モチーフの方があっています。
地方名
上の1FtにはTrockoの記載があります。これは地域名で、モチーフはその地域に伝わる刺繍文様ということになります。
いくつか megyeが付いている切手がありますが、megyeは日本の県や郡の意味です。
Dudas.L
Dudas.Lはその他の同時代のハンガリーの切手にも記載があることから、切手デザイナーだと思います。
Forint
ハンガリーの通貨単位がForint(フォリント)です。ハンガリーはEUに加盟していますが、通貨はユーロを使っていません。通貨記号はFt、ISOの通貨コードはHUFです。2021年現在、1フォリントは日本円のレートで0.38円、20年前は0.5円くらいでした。
16フォリントだと約6円、一番大きい額面の500フォリントが190円です。
現在のハンガリーの新切手を見ますと、200〜500フォリントの額面が多いようです。
ポスティオ・マルシェで数種類販売しておりますが、未使用切手の金額は入手コストが反映されているため、かなり割高になりますので、慎重にご購入ください。
A.Ny.Rt. / Pj / Allami Ny.Rt
中央、一番下にあるこの3種の文字はただいま調査中です。
発行された時期
切手の左下に小さく発行年が記載されています。それによると1994年から1999年までも6年間にわたり発行されました。
年代 | 数 | 額面 |
1994 | 8種 | 11、12、14、19、32 、35、40、50 |
1995 | 7種 | 1、2、3、9、14、22、38 |
1996 | 8種 | 13、16、17、24a、75、80、300、500 |
1997 | 2種 | 27、60(24に加刷) |
1998 | 2種 | 5、200 |
1999 | 5種 | 24b、65、79、90、100 |
1994年から1996年までが一番多くなっています。
ハンガリーの刺繍モチーフ切手のデザイン
額面順にご紹介します

1Forint、1995年発行、Trocko地方の刺繍文様です。

2Ft、1995年発行、Buzsak(ブジャーク)地方の刺繍文様です。ブジャークは刺繍が伝統工芸として受け継がれている村です。『Buzsak Himzesminta Kincse(訳:ブジャーク刺しゅう図案の宝物)』という刺繍文様の古書を見たことがあります。

3Ft、1995年発行、Vas(ヴァシュ)地方の刺繍文様です。ヴァシュはハンガリー最西部、スロヴェニア国境の県です。

5Ft、1998年発行、Rabakoz(ラーバクズ)の刺繍文様です。1998年の刺繍切手は5Ftと200Ftのみでした。

9ft、1995年発行、北部地方Felfoldの刺繍文様です。

11Ft、1994年発行、ハンガリー東部のCsik(チーク)県の刺繍文様です。

12Ft、1994年発行、Vas(ヴァシュ)地方の刺繍文様です。

13Ft、1996年発行、Debrecen(デブレツェン)の刺繍文様です。デブレツェンはブダペストに次いでハンガリー第2の都市です。

14Ft、1994年発行、Sarkoz(シャールクズ)の刺繍文様です。シャールクズは刺繍の伝統工芸で有名なトルナ県の村名です。このモチーフ、昭和のレトロな雰囲気に似ているものがありましたね。

16Ft、1996年発行、Csik地方の刺繍文様です。

17Ft、1996年発行、Dunantul(ドゥナーントゥール)地方の刺繍文様です。

19Ft、1996年発行、Kalocsa( カロチャ)地方の刺繍文様です。カロチャはハンガリー有数の歴史ある自治体で、カロチャ刺繍でも有名です。

22Ft、1995年発行、Heves megye(ヘヴェシュ県)の刺繍文様です。ヘヴェシュも刺繍や織物で知られる県です。

24Ft、1999年発行、Kalocsa( カロチャ)地方の刺繍文様です。19Ftと同じカロチャのモチーフですが、色合いと額面の印刷位置、それから紙質が少し違います。

24ft、1996年発行、北部地方Felfoldの刺繍文様です。24Ftは2回発行されていて、こちらは1996年の方です。

27Ft、1997年発行、Vas(ヴァシュ)地方の刺繍文様です。ヴァシュは3Ft、12Ft、27Ftの3回登場しています。

32Ft、1994年発行、Debrecen(デブレツェン)の刺繍文様です。デブレツェンは13Fと32Ftの2回発行されています。柄は同じで32Ftの方がベースの色がアイボリーでくすんだ印象です。

35Ft、1994年発行、Dunantul(ドゥナーントゥール)地方の刺繍文様です。

38Ft、1995年発行、Oroshaza(オロシュハーザ)の刺繍文様です。オロシュハーザは観光地としても知られています。

40Ft、1994年発行、Kalotaszeg(カロタセーグ)地方の刺繍文様です。

50Ft、1994年発行、Szentgal地方の刺繍文様です。

60ft、1997年発行、1996年に発行の24Ftに加刷して60Ftにしています。1990年代というそれほど古い年代でもないのに、加刷にする理由は何だったのか?知りたいです。

65Ft、1999年発行、Dunantul(ドゥナーントゥール)地方の刺繍文様です。ドゥナーントゥールは17Ft、35Ft、65Ftの3回発行されています。

75Ft、1996年発行、Oroshaza(オロシュハーザ)の刺繍文様です。オロシュハーザは38Ftと2回発行されています。

79Ft、1999年発行、csango(チャーンゴ)の刺繍文様です。この79Ftにだけ、変わった記載があります。
他は「Himzett_mitivumok_地名」なのですが、79Ftは「Himzett_地方名_民族名_mitivumok」です。
moldival csango(モルドヴァのチャーンゴ人)はハンガリー系の少数民族のことです。他の刺繍文様とは印象が違いますね。

80Ft、1996年発行、Sarkoz(シャールクズ)の刺繍文様です。シャールクズは14Ftに続き2回目の登場です。

90Ft、1999年発行、Heves megye(ヘヴェシュ県)の刺繍文様です。ヘヴェシュ県は22Ftに続いて2回目です。

100Ft、1999年発行、Szécsény(セーチェーニ)の刺繍文様です。

200Ft、1998年発行、ハンガリー北部 Mezokovesd(メゼーケべジュド)の刺繍文様です。

300Ft、1996年発行、Kalocsa( カロチャ)地方の刺繍文様です。カロチャは19Ft、24Ftと3回発行されています。

500Ft、1996年発行、ハンガリー中央部のSzolnok (ソルノク)地方の刺繍文様です。
同じ県、村、地域の仲間を集めてみました
同じ県、村の仲間、2枚以上発行されている地域で集合させてみたくなりました♪
同じ地域の切手はイメージも同じモチーフを使っていますが(Vas ヴァシュ以外)額面の位置、紙質、色の濃淡が少しだけ違います。見比べてみてください。
Kalocsa( カロチャ) Dunantul(ドゥナーントゥール) Sarkoz(シャールクズ) Debrecen(デブレツェン) Felfold Oroshaza(オロシュハーザ) Heves megye(ヘヴェシュ県) Csik megye(チーク県)

年代別でも集めてみました
1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年
1枚、1枚、刺繍切手を見て、ますますこの切手の素敵さに気がつきました。
ハンガリーの刺繍文様や地域についても情報が入りましたら追記していきたいと思います。
こちらのブログで画像と共に数回に分けてご紹介していきます。
このブログでは手のひらにのるアート「外国切手」を中心にすてきな自分だけのアートをご紹介しています。
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