
David Gentleman(デビット・ジェントルマン 1930-)はイギリス切手で最も多作なデザイナーです。
2022年2月18日にRoyal Mail(ロイヤル・メール)からデビット・ジェントルマンを記念した切手が発行されました。切手シートには1960-1970年代の代表作がデザインされています。
デビット・ジェントルマンの切手デザイン・小型シート・2022
Royal Mail(ロイヤル・メール)は、イギリス(連合王国)で郵便事業を行う会社の名称です。1516年にヘンリー8世(1491-1547)によって新設された郵政長官(Master of the Posts)を発祥とする長い歴史があります。
David Gentleman(デビット・ジェントルマン)とは

David Gentleman(デビット・ジェントルマン)は、1930年生まれのイギリス人アーティストです。
王立芸術大学(ロイヤルカレッジオブアート)で絵画を学びました。
1978年に地下鉄チャリングクロス駅のホームに長さ100mに及ぶ壁画を描きました。

David Gentleman(デビット・ジェントルマン)切手の特徴
画家としての技術とセンスを生かして、工業的なデザインから、ほほえましい絵本のような絵まで、テーマに沿った様々なテイストが持ち味です。
水彩画をベースに、版画、リトグラフなど、表現方法を変えることで、新鮮な印象の切手になっています。
デビット・ジェントルマンの功績と言われていることに、切手の中の女王の肖像の扱いが挙げられます。
それまで写実的な女王の肖像を入れることがイギリスの切手の特徴でしたが、肖像をコンパクトなシルエット画像にして、切手の発行テーマを明確に表現するデザインを提案して、以降のイギリスの切手デザインに大きな影響を与えました。
英国王立芸術協会はこれらの功績を称えて「ロイヤル・デザイナー・フォー・インダストリー(RDI)」の称号を授与しました。
女王の肖像についてはこちらのページもご覧ください

David Gentleman(デビット・ジェントルマン)の切手
デビット・ジェントルマンは英国切手ので103種の切手をデザイン
David Gentleman(デビット・ジェントルマン 1930-)は1963年から2000年の間に28タイトル(103種)の切手をデザインしました。

上のリストで、セット枚数と枚数に差がある4タイトルは、他のデザイナーの絵柄と併せて発行された切手です。
David Gentleman(デビット・ジェントルマン)切手のすべて
























現在、デビット・ジェントルマンがデザインした切手、28種すべてをポスティオ・マルシェで取扱いしています。「ジェントルマン」で検索してください。
それでは1つずつジェントルマンのデザインを見ていきましょう!
1. 1962年・国際生産性年(3)

エリザベス女王とグラフィックアートの組み合わせが今見るとポップな印象です。
2. 1963年・救命ボート会議(3)

3. 1964年・シェイクスピアフェスティバル(5)

5枚のうち上の4枚がデビッド・ジェントルマンのデザインです。
4. 1965年・チャーチル記念(2)

サー・ウィンストン・レナード・スペンサー・チャーチル(Sir Winston Leonard Spencer Churchill 1874-1965)はイギリスの政治家で、1940年〜45年にかけて首相を務めました。
イギリス国内ではとても人気があるそうです。
モチーフはこちらの写真、ユーサフ・カーシュ(Yousuf Karsh 1908-2002)が1941年に撮影した『The Roaring Lion(唸るライオン)』と呼ばれる写真です。この写真は1945年5月21日、雑誌『ライフ』表紙に使用されました。

その20年後に90歳で生涯を終えたチャーチルの記念切手が同年に発行されました。
写真を元にした絵と色合い、バランスなど、シンプルながらかっこいい切手です。
5. 1965年・連邦芸術祭(2)

6. 1965年・バトルオブブリテン(8)

7. 1966年・ワールドカップ(3)

3枚のうち右の1枚がデビッド・ジェントルマンのデザインです。
他の2枚にデザイナー名が記されていますが、デビッド・ジェントルマンの1枚にはありません。
8. 1966年・ヘイスティングズの戦い(8)

9. 1968年・英国の記念日(4)

4枚のうち上の左下の1枚がデビッド・ジェントルマンのデザインです。
10. 1969年・イギリスの船(6)

11. 1969年・コンコルド(3)

12. 1969年・プリンスオブウェールズ・HRHの調査(5)

13. 1969年・郵便業務技術(4)

14. 1970年・田園の建築(4)

15. 1970年・国際切手展(3)

フィリンピアは国際切手展のことで、切手の中の切手です。
1840年に初めての切手が発行され、1847年にエンボスの切手、1855年にsurface print(凸版切手)の記載があります。
16. 1972年・BBC50年(4)

モダンなデザインでかっこいい切手ですね!
17. 1973年・樹木・オーク/ 19. 1974年・樹木・カシノキ

2年連続で発行された樹木シリーズ、1973年はOak(オーク)、1974年はChesnut(トチノキ)です。
18. 1973年・クリスマス(6)

「連刷」という発想を生み出したのもデビット・ジェントルマンと言われています。
物語が進んでいくような連刷切手です。1枚がバラになっているのは当時の印刷の都合でしょうか(調査中です)
1973年は、クリスマスキャロル「Good King Wenceslas(ウェンセスラスはよい王様)」がモチーフになっています。
20. 1964年・防火(4)

1766年、1830年、1863年、1904年の消防車の様子のイラスト、とても細かいです。
21. 1976年・社会改革者(4)

22. 1977年・クリスマス(6)

1977年は切手の下に「The Twelve Days of Christmas(クリスマスの12日)」と印字があります。
クリスマスの12日間はクリスマスを祝う歌のひとつで、クリスマスから公現祭までに毎日貰った贈り物について歌っています。
写真下の梨とうずらの絵の歌は
On the first day of Christmas
My true love gave to me
A partridge in a pear tree.
(クリスマスの1日目、愛する人がくれたのは、梨の木に1羽のヤマウズラ)
23. 1980年・リバプールマンチェスター鉄道(5)

連刷で絵本のような切手です。
24. 1982年・チャールス・ダーウィン(4)

25. 1989年・クリスマス(5)

イギリスのケンブリッジシャー州イーリー市にある英国国教会のイーリー大聖堂がモデルになっています。デビッド・ジェントルマンの得意とする版画のイメージで、金色と銀色のきれいな切手です。
26. 1993年・アボッツバリー・白鳥園(5)

ドーセットのアボッツバリー村にあるAbbotsbury Swannery(アボッツバリースワナリー)はmute swan(コブハクチョウ)に特化した飼育をしている保護園で、1040年代に修道士たちによって創設されました。
27. 1999年・ミレニアム・タイムキーパー(4)

4枚のうち上の左上の1枚がデビッド・ジェントルマンのデザインです。
28. 1999年・ミレニアム・タイムキーパーミニチュアシート

デビット・ジェントルマンは、2022年現在92歳で、切手デザインから離れたのちも意欲的に創作活動をしているそうです。
ポスティオ・マルシェではデザインにこだわってセレクトした切手を販売していますが、28種中、13種の取り扱いがありました。
今回調べるまで、デビット・ジェントルマンの作品と知らずにいた切手もありました。
今後は価格が入手困難なほど上がらないかぎり、28種のすべてを販売していく予定です。
イギリスの切手のカテゴリーでデビット・ジェントルマンのお気に入りを見つけてください。
(ご紹介した切手が品切れの際はご容赦ください)
このブログでは手のひらにのるアート「外国切手」を中心に小さなアートをご紹介しています。
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