【美術館散歩】「スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき」展で出会うカール・ラーション

カール・ラーション 1894年《キッチン / ある住まいより》

2026年1月27日(火)~4月12日(日)まで、東京都美術館で、『スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき』が開催されています。

スウェーデンの絵画だけに注目した展覧会は私として初めてでしたので、とても楽しみにしていました。

今日は、『スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき』で1つのテーマになっていたカール・ラーションの絵画について紹介したいと思います。

目次

カール・ラーションとは

カール・ラーション(Carl Larsson, 1853–1919)はスウェーデンを代表する画家のひとりです。

家庭の風景や日常生活をあたたかく描いた作品で知られ、現在でもスウェーデンの人々に深く愛されています。

私がカール・ラーションを知ったのは、スウェーデンのクリスマス切手でした。

スウェーデン・2003年・クリスマス
スウェーデン・2013年・クリスマス

温かい雰囲気に魅了されました。

切手に採用された作品の1つがこちらです。

The Yard and the Washhouse|©︎ Carl Larsson-garden

貧しい幼少期から画家へ

カール・ラーションは1853年、ストックホルムで生まれました。

幼少期は恵まれたものではなく、厳しい環境でした。ですが、絵画の才能を見出されて王立芸術アカデミーで学び、フランスへ渡ります。

当時の多くの北欧画家と同じように、パリで写実主義や自然主義の影響を受けましたが、カール・ラーションの転機は「都会」ではなく「家庭」にありました。

転機となった「家族と暮らし」

フランス滞在中、彼は画家カリン・ベリュー(Karin Bergöö)と結婚します。

カリン・ベリューの存在が、ラーションの芸術を決定づけました。

夫妻はスウェーデン中部ダーラナ地方のスンボーン(Sundborn)に家を構え、家族の暮らし、子どもたち、室内、庭、季節の移ろいを描き始めます。

Carl Larsson|©︎ Carl Larsson-garden

カール・ラーションとカーリン・ラーションがつくった家、リッラ・ヒュットネース〈Lilla Hyttnäs〉は現在カール・ラーション・ゴーデン記念館〈Carl Larsson-gården〉として公開されています。

リッラ・ヒュットネース〈Lilla Hyttnäs〉は「岬の小さな精錬小屋」という意味です

リッラ・ヒュットネースで生まれたのが、ラーションの代名詞ともいえる作品たちです。

カール・ラーション 1901年《カードゲームの支度》

作品のテーマ
・家族の団らん
・明るい室内
・窓から差し込む自然光
・子どもたちの何気ないしぐさ

カール・ラーションの絵が「静かであたたかい」と感じられる理由は、光の扱い方と視線の高さにあります。

・光は劇的ではなく、窓辺にやさしく広がる自然光
・視点は常に生活者の目線
・特別な出来事ではなく、何気ない一日

カール・ラーションの描く光は、北欧特有の澄んだ空気を感じさせますが、冷たくはありません。

むしろ、家族の気配や生活音が感じられるような、体温をもった光です。

作品を見ると、「きれいだ」より先に「ここに座ってみたい」「この時間を共有したい」という感覚が生まれます。

妻カリンとの共同制作という視点

見逃せないのが、妻カリンの存在です。

妻のカーリンは、ストックホルム王立美術学校を卒業し、フランス留学中にカールと婚約、結婚しました。

子育てで製作から離れていなとカリンは、リッラ・ヒュットネースで暮らすようになってから、眠っていた才能が花開きました。

カリンは画家であり、テキスタイルや家具、室内装飾を手がけた優れたデザイナーでした。

カール・ラーションの絵に描かれる美しい室内は、実際にカリンが設計・装飾した空間です。

カール・ラーションの作品は

・絵画
・建築的空間
・テキスタイル
・暮らしのデザイン

これらが一体となった、総合的な生活芸術とも言えます。

この点で後の北欧デザイン(家具・インテリア・テキスタイル文化)に大きな影響を与えました。

カール・ラーションスウェーデンでの評価と現在

スウェーデンにおいてカール・ラーションは

・理想の家庭像を描いた画家
・スウェーデン的生活美の象徴

として、教科書や美術館で紹介されている国民的画家です。

カール・ラーションが家族と暮らした住居(スンボーンの自宅)は美術館として公開されており、スウェーデン人にとって「原風景」のような存在だそうです。

カール・ラーションの絵は強く主張してくることはありません。

ですが、見る人の足を止めさせる力があります。

これは「名画だから」ではなく、日常を見つめる眼差しのやさしさによるものだと思います。

なぜ、いまカール・ラーションなのか

現代の私たちは、日常を「忙しさ」や「効率」で測りがちです。

カール・ラーションの絵が心に残るのは、日常を評価せず、急がせず、ただ見つめているからかもしれません。

カール・ラーションの絵が示しているのは「日常そのものが、かがやいている」という素敵な事実です。

展覧会で見るカール・ラーション作品の楽しみ方

『スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき』という展覧会タイトルですが、カール・ラーションという画家を通して、より理解することができました。

カール・ラーションの作品を見るとき、「何が描かれているか」より「どう描かれているか」に目を向けると、自分もそこにいるような気持ちになります。

絵画が語りかけてくるのは「感動」や「感嘆」ではなく、「共に過ごす時間」の空気感です。

『スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき』

展覧会に並ぶ作品は、すべてスウェーデン人画家によるものです。

彼らにとって大切だったのは、厳しい気候や澄んだ空気、長い冬と短い夏の間に差し込む光のありよう、その中で営まれる日常の息遣いを見つめることでした。

カール・ヴィルヘルムソン 1899年《画家の妹》

北欧では、光そのものがひとつのテーマになります。

それは単なる明るさではなく、季節や時間、空気の質感を伴った光として、自然と人間の関係を描くための装置でもあります。

『スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき』は、そうした光の系譜が多層的に展示されています。

北欧の光と空気を感じることができる貴重な体験でした。

エウシェーン王子 1901年《静かな湖面》


展覧会名:スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき
会期:2026年1月27日(火)〜4月12日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室(上野公園・上野駅徒歩5分)
開室時間:9:30〜17:30(金曜は20:00まで)
休室日:月曜日(2/24を除く)
観覧料:一般2,300円、65歳以上1,600円、大学生・専門学校生 1,300円、18歳以下 無料

東京都美術館の後に、山口県立美術館(4月28日-6月21日)愛知県美術館(7月9日-10月4日)を巡回します。

東京都美術館 WEBサイト https://swedishpainting2026.jp/

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