
2025年9月20日〜12月7日に東京都にある府中美術館で開催している『フジタからはじまる猫の絵画史』を観てきました。
藤田嗣治氏(以降は敬称略)だけでなく、その後を受け継ぎ、変奏を重ねてきた猫表現の系譜をたどる展覧会です。
猫好き、美術ファン、普段は絵画を見ない人にも、思わず足を運びたくなる魅力が満載です。
猫が主役になる瞬間を絵画で見る展覧会

猫の自由な佇まい、しなやかな線、気まぐれな眼差しは、画家たちが描きたくなる被写体でありながら、美術史の中心には長い間いなかった存在です。
猫好きで知られる藤田嗣治は猫を主役として画面に据え、 日本の洋画表現の可能性を広げました。
藤田嗣治(ふじたつぐはる 1886年11月27日 – 1968年1月29日)
日本生まれでフランスで活躍した画家・彫刻家。フランスに帰化後の洗礼名はレオナール・ツグハル・フジタ。 第一次世界大戦前よりフランスのパリで活動、猫と女を得意な画題とし、日本画の技法を油彩画に取り入れつつ、独自の「乳白色の肌」とよばれた裸婦像などは西洋画壇の絶賛を浴びた。エコール・ド・パリの代表的な画家です。(引用:wikipedia)
見どころ 1 藤田嗣治の猫表現の革新

展覧会タイトルが示すように、この展は「猫を描く洋画の系譜」を藤田嗣治を起点として構成しています。
藤田嗣治が猫を「主役」として描くことに込めた意図、技法、画風の変遷に注目すると、彼の芸術家としての挑戦と孤高さが見えてきます。
特に、彼の作風で知られる乳白色の肌合いや描線との関係性を、猫という被写体を通して味わうことができます。
見どころ 2 他の洋画家たちによる猫のバリエーション
展覧構成の魅力は、藤田嗣治だけで洋画家たちがはなく猫をどう扱ったか、時代とともにどう変化したかを比較できるところです。

西洋では数少ない「猫の画家」と呼ばれたテオフィル・アレクサンドル・スタンラン(Theophile Alexandre Steinle 1859 – 1923)のリトグラフ《ヴァンジャンヌの牛乳》と中原實の《猫の子》がかわいかったです。

中原實の《猫の子》は、どの角度から見てもかわいいです。
外部の表示にも使われていましたので、学芸員さんもお気に入りなのかと思います。
熊谷守一や猪熊弦一郎といった有名作家の作品も並んでいました。
モダンな表現、詩情的・象徴的な表現など、猫というモチーフを通じて各作家の個性が浮かび上がってきます。
見どころ 3 展示構成の工夫と比較鑑賞
本展では、猫テーマにおける比較展示が意図的に配置されていて、複数作家の作品を対比させて鑑賞できるコーナーも設けられています。
たとえば、猫のポーズ、毛並み、背景との関係、視線など、細部の違いを見比べてみると、作者ごとの感性や時代背景が見えてきて楽しめました。
特に猪熊弦一郎の抽象画《猫によせる歌》と藤田嗣治の《五人の裸婦》との対比が興味深かったです。

府中市美術館の展示の良い点として、音声ガイドなどのサービスをつけずに、学芸員さんの解説がすべての作品に付いています。
なので、作品1枚1枚を専門家の見解と共に鑑賞できるので、新たな発見があります。
小規模な郊外の美術館ならではの良さがあります。
『フジタからはじまる猫の絵画史』まとめ
猫は気ままで、自由で、それぞれがまったく違う性格で、違う線を歩くそうです。
『フジタからはじまる猫の絵画史』は、そんな猫の気配を、絵画のなかで追いかけ、様々な時代・作家の視線を通して再発見する、旅のような展覧会です。
あなたの好きな一匹の猫を探しに、ぜひ美術館へ行ってみてください。
- 会期:2025年9月20日(土)~ 12月7日(日)
- 会場:府中市美術館
- ロッカー:あり:コイン戻り式 ¥100(コインお持ちください)
- 写真撮影:不可
- 休館日はウェブサイトのカレンダーでご確認下さい。
ポスティオ・マルシェには猫の切手グループがあります。
なかでも藤田嗣治のワリスフテュナの切手は伝説の切手の1枚です。(個人コレクションです)

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