【美術館散歩】「民藝 無作為の美 ―深澤直人が心を打たれたものたち」 @日本民藝館(2025年3月〜)

東京都目黒区にある日本民藝館で、2025年3月30日(日)から6月1日(日)に開催中の特別展「民藝 無作為の美 ―深澤直人が心を打たれたものたち」をご紹介します。

民藝の本質に触れられる貴重な展覧会です

深澤直人(Naoto Fukazawa 1895-1984)

深澤直人(ふかさわ なおと)さんは、日本を代表するプロダクトデザイナーであり、多摩美術大学副学長を務めています。

無印良品の壁掛けCDプレーヤーや携帯電話「INFOBAR」などの代表作があります。人の無意識の行為や記憶に着目した「静かで力のある」デザインが特徴で、国内外の企業やブランドとのコラボレーションも多数。

2012年から日本民藝館の第5代館長を務めています

目次

展覧会の概要

日本民藝館館長でありプロダクトデザイナーとしても著名な深澤直人氏が、膨大な館蔵コレクションの中から「心を打たれた」民藝品を厳選し、その魅力を紹介しています。

テーマは「無作為の美」。

自然体で生まれた作為なき美しさ、生活の中から生まれた温もりや親しみ、愛らしさに光を当てています

深澤氏ならではの視点で選ばれた品々は、陶器や染色、柳細工、樺細工、藁沓(わらぐつ)など多岐にわたります。

どれも素朴でありながら職人の美意識と技術が感じられるものばかり。

現代の生活にもなじむデザイン性を持ち、「古臭い」と感じさせない新鮮さがあります

展示作品の種類

陶器や染付の小物

菊模様の香合や李朝時代の陶磁器など、日常の中に溶け込む美しさと実用性が共存しています。

柳細工・樺細工

極細の柳で編まれた小物入れや、伝統技法と現代的な美意識が融合した煙草入れ、小箱などが展示されています。

藁沓や刺繍作品

繊細な藁沓(わらぐつ)や台湾原住民族の刺繍ポーチなど、手仕事の温かみと高い技術が感じられます

金属製品や家具の金具

東洋の金属工芸も多く展示され、細部に宿る職人の気概が伝わってきます

斬新なデザインの壺や湯釜

信楽の壺など、現代アートのような斬新な意匠も見どころです。

海外の民藝品

朝鮮の竹製弁当箱や白磁、イギリスのスリップウェア、スペイン陶器のラスター彩など、国内外の多彩な民藝のうつわも展示されています

キャプションの工夫

展示品のキャプションは作品名・年代・産地のみで説明はありません。

私たち自身で「なぜ深澤氏が心を打たれたのか」を想像しながら鑑賞できます。

深澤直人さんの民藝と作品についてのことば

会場では動画が放映されています。

その中で深澤直人さんのことばのひとつひとつが、民藝に対する温かいまなざしを感じました。

優しいかたち
この混沌とした時代に私たちを救ってくれるのは感動しかないだろう。民藝は優しくあたたかい。この展覧会で私は収蔵庫の中から優しいかたちを選んできた。私たちの心を打つものたちに感動して欲しい。民藝は私たちを幸せにしえくれる力があるはずだ。

なぜ人は、自然の中から生まれ出た行為なき民藝の美に、心を打たれるのであろうか

デザインは民藝から多くを学んでいる。
例えば、かたちも、思想も、自然も。

民藝はアイコニックである。

「アイコニック」とは、「象徴」「特徴」「偶像」という意味があります。

民藝は美学である。

私たちは無垢な存在に憧れ、素朴なものに心奪われる。

デザインは、何が「人」と「もの」と「環境」の良い関係なのかということを見つけ出し、具体化するということにつきる。

使い勝手をそのまま素直にかたちにする。

自然の恵みと健全な心がはぐくんだ民藝の美

無名で、単純で、愛着のある”ふつうのもの”

本質を極める力

何故こんなに優しい形をしているのだろう。

かたちに優しさがでるというのは、優しい気持ちの人々がいた時代だったからに違いない。

デザイナーなしのデザイン

人びとの生活の知恵や工夫が結実した美

文化や習慣を超えて伝播する”懐かしい道具”

デザイナーとは生活者の視点で人の想いを可視化する行為。

生きていく上で大切なことを民藝は教えてくれる。

以上、民藝 無作為の美 ー深澤直人が心を打たれたものたちー より引用

「民藝 無作為の美」まとめ

「民藝 無作為の美 ―深澤直人が心を打たれたものたち」は、民藝の“無作為の美”を、現代の視点で新たに感じられる展覧会です。

生活の中に息づく美しさに触れたい方、ものづくりの原点を見つめ直したい方に、ぜひおすすめします。

静かな空間で、手仕事の温もりと美しさをじっくり感じてみてはいかがでしょうか。

日本民藝館について   

日本民藝館は美術研究家で民族運動の主唱者であった柳宗悦氏によって1936年に開館した私設美術館です。

現在は公益財団法人日本民芸館が運営しています。開館から65年を経た2001年に財界からの支援を得て大規模な改修があり現在の施設の規模になりました。

日本民藝館 (The Japan Folk Crafts Museum)概要

  • 所在地:東京都目黒区駒場4-3-33
  • TEL 03-3467-4527
  • 交通:京王井の頭線「駒場東大前駅」から徒歩7分
  • ロッカー:あります(100円戻り式)
  • 写真撮影:展示室内は不可(一部指定された展示は可能)
  • 一般駐車場なし
  • 入館料:一般 1,500円、大高生 800円、中小生 200円
  • 休館日:毎週月曜日、そのほかウェブサイトのカレンダーでご確認下さい。
  • 館内は専用のスリッパに履きかえます。靴下があるといいと思います。

日本民藝館 WEBサイト https://mingeikan.or.jp/

日本民藝館についてはこちらの記事もぜひご覧ください↓↓

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