
2026年4月11日〜6月14日まで東京都庭園美術館で開催している『アニマルズ in 朝香宮邸』を観てきましたのでご紹介します!
東京都庭園美術館の「建物公開」に合わせた展覧会です。
「建物公開」は、毎回テーマを変えながら旧朝香宮邸の建築の魅力を掘り下げる、この美術館ならではのシリーズです。
2026年のテーマは「アニマルズ」。
タイトルを聞いた瞬間、あの館のどこに動物が?と思ったのですが、今回の展覧会でとくわかりました。
朝香宮邸は動物たちがたくさんいる邸宅だったのです。
孔雀も鶴も鯉も暮らした邸宅

孔展覧会の冒頭でまず驚かされるのが、朝香宮家が実際に飼育していた動物の多さです。
雀、鶴、鶏、伝書鳩。ドーベルマン、シェパード、セッター、日本テリアといった犬たち。
カナリヤ、文鳥、セキセイインコ、十姉妹などの小鳥。
熱帯魚、鯉、チンチラ兎。そして門衛所付近には大蛇まで住み着いていたという逸話も残っています。

展示に添えられた当時の敷地図には、それぞれの動物がどこで飼われていたかが几帳面に記されていて、この地図を眺めているだけでしばらく時間が経ってしまいます。
朝香宮鳩彦王は、朝食後にパンの耳を持って庭に出ては、鯉や孔雀、鳩に餌やりをされていたといいます。
そんな日常の光景が目に浮かぶようで、国の重要文化財に指定された邸宅が身近に感じられました。
壁にも扉にも、動物が棲んでいる
朝香宮邸の内装をよく見ると、いたるところに動物のモチーフが隠れています。

第一応接室の扉の上には、森の中の鹿と熊を描いた絵画が静かにはめ込まれています。

大客室のラジエーター・カバーには熱帯魚が泳ぎ、別の部屋のラジエーターカバーには巻き貝や貝殻が金属で繊細に表現されています。

妃殿下下居間の椅子には、動物と花のモチーフが刺繍で描かれています。
当時の職人たちが室内設計家の意図に応えながら作り上げた、精巧な作品たちです。
「アニマルズ」というテーマは、外から持ち込まれたのではなく、この建物がもともと持ち合わせていたものだったのだと気づかされます。
ラリック、ラパン、シュブ 工芸の巨匠たちの仕事
展示の中でとくに心をつかまれたのが、小ぶりなケースに収められた3羽の陶磁器の動物たちです。

ロイヤル・コペンハーゲン製のこの彫刻はご覧のとおりペンギンです。
朝香宮夫妻が1920年代にヨーロッパ滞在中に入手されたもので、竣工時の小客室を写した写真にもその姿が確認できます。
ところが、収納箱の蓋に墨で書かれた文字は「デンマルク国製陶器 三羽揃ペリカン」

当時の日本ではペンギンがまだ一般に広く知られていなかったため、「くちばしが長い」という特徴からペリカンと記されたのではないか、と推測しています。
この小さな誤記が、当時の日本と西洋との間にあった知識の差を伝えています。
フランソワ・ポンポンの白熊
新館で展示の第3章では、近代動物園の誕生と動物彫刻の関係が掘り下げられます。

中心に置かれているのが、フランスの彫刻家フランソワ・ポンポン(François Pompon)の仕事です。
ポンポンは、パリのジャルダン・デ・プラントに足しげく通い、生きた動物を観察し続けた彫刻家として知られています。
彼の作品の特徴は、徹底的に省略された滑らかなフォルム。
余分な線をそぎ落とすことで、動物の本質的な動きや量感を白い彫刻の中に閉じ込めました。
展示されている白熊の彫刻は、まさにその美学の結晶です。
ガラスケースの中に置かれた純白のシロクマは、ほとんど抽象に近い造形でありながら、たしかにクマの重さと歩みが感じられます。
ポスターやフライヤーにも大きく使われているこの一点が、展覧会全体のトーンを象徴しているように感じました。
ルネ・ラリックのインコシリーズ

ルネ・ラリック(René Lalique) 《インコのオパルセント・ガラス》も新作を合わせて出品されていました。
淡いブルーとグリーンの色調に見入ってしまいます。


新緑の季節に行きたい美術館
「建物を見る」という体験は、美術館でありながら誰かの「家」に招かれたような、不思議な親密さがあります。
動物と暮らし、植物を愛で、アール・デコの美に囲まれて生きた朝香宮家の日常を、この展覧会は改めて生き生きと蘇らせてくれます。
ぜひ足を運んでみてください。
展覧会情報
建物公開2026「アニマルズ in 朝香宮邸」ANIMALS in THE RESIDENCE of PRINCE ASAKA
会期:2026年4月11日(土)〜6月14日(日)
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜(ただし5月4日は開館、5月7日は休館)
会場:東京都庭園美術館

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